転職失敗は“経歴に傷をつける”
「こんなはずじゃなかった」
「どうしても続けられない。」
「転職に完全に失敗した…」
「背に腹は代えられない…また転職しようか」
8割以上の看護師が少なくとも転職を考え、6割以上の看護師が転職を経験します。
看護師にとって、転職はごくごく普通のこと。
そして、どの地域でも、どの病院でも看護師は不足傾向(今後50万人の看護職が不足すると言われています)。
でも、その分情報があふれ、誤った情報やミスマッチ、看護師ご本人の問題もあり…
転職に成功する看護師ももちろん多いですが、失敗する方も少なくありません。
短期間の転職は経歴に傷
でも、短期間での退職は看護師としての経歴に傷がついてしまいます。
できれば3年くらい、少なくとも2年くらいは働かないと、まともな病院は採用に懸念を持つからです。
「短期間でやめた看護師さんでも採用したい」
そんな病院はよほど看護師が足りずせっぱつまっている…
極端に忙しい環境ではと簡単に想像されますよね?
異常に離職率が高い病院も
実際に離職率が異常に高い病院もあります。
例えば、正社員が少なく、派遣の看護師で回している…
そんな病院に正社員として入職してしまうと、周りの看護師は派遣の方ばかりで院内のことが良くわからず、限られた正社員の負担が大きくなりがち。
その他にも、
実は、人間関係が最悪の病院だった
実はほとんど昇給しないことがわかった
給料が看護師によって違う
などなどいろいろなケースが実際にあります。
騙された感覚が短期の転職につながりやすい
離職率の高さは求人や採用面接の段階ではわかりくく…
病院の人事担当者にだまされた
人材紹介会社にだまされた
そういった被害者意識にさいなまれると、転職しても余計につらくなります。
1か月とか数か月で真剣に転職を考えなくてはならくなると、
そんなつらい環境でせめて2年、できれば3年勤務するとなると、どうでしょうか?
できれば、こんな転職は避けたいですよね…。
転職が癖になってしまう看護師
それでも、一度転職をすると、転職という行為に“慣れてしまい”、転職が癖になる看護師もいらっしゃいます。
何か不満があればすぐに転職を考えてしまう転職に“依存的”になってしまう場合があります。
転職後に何かあればすぐに「転職」「辞めようか」というキーワードが頭をよぎります。
すぐに退職することはないにしても、悩みながら働くことはつらいし、インシデントにもつながるリスクもあります。
エネルギーロスになりますし、ストレスにもなります。仕事が終わったらヘトヘト。家事も全くやる気になれないということは看護師にはよくありますよね。
転職のリスクを想像する
十分な情報を得ずに、転職に失敗したとしたらどんなことが起こりそうですか?
想定外のことが起こり問題となるとしたら何が起こるか、書き出し、実際に転職後そうなったらどんな感情になるか、想像してみましょう。
転職するまえに押さえておいていただくとよいことがあります。
それは、転職にまつわる“大いなる誤解”を解くこと。
大いなる誤解「転職したら、幸せになれる?」
転職したら、勤務形態・人間関係・給料が変わる
少なくとも今の人間関係(=苦痛)から解放される
今よりは楽になるはず…
転職する意義は、ただ一つ。
転職して、より幸せになることだと思います。
でも、
転職=幸せ
と結びつけてしまうのは“危険な幻想”だと思います。
誰しも「環境が変われば幸せになれるはず」と考えてしまうものですが…。
「転職=幸せ」は、幻想
なぜ幻想かというと、根底にあるのは“思い込み”だからです。
不幸な原因は外(病院や人間関係など)にあるという思い込み
自分が不幸な原因は、病院にある、人間関係にある=外部環境にある。(少なくとも自分ではないという思い込み)
「外部環境=病院や人間関係を新しくすれば、私は幸せになれるはず」
これは99%幻想に終わってしまうと思います。
そして、幻想の中に生きている限りどんな病院に勤めても、不幸になる原因が見つかってしまいます。
病院、看護師という仕事柄、何も問題もない天国のような職場はほぼあり得ないでしょう。
だから、看護という仕事自体、上司や同僚看護師との関係性など、嫌だと“思う”ことをどう乗り越えるか、看護師として、人として成長するチャンスとできるかがカギになると思います。
ただ、自分を成長させる機会として、やれるところまでやるか…もちろん、我慢にも限界はあります。
命の現場を担う看護師とはいえ、看護師である前に一人の人間。人としての尊厳を失ってまで我慢する必要はありませんよね…。
いざというときはやはり転職・退職も選択肢。
「この病院しかない」よりは、“選択肢”があることが“心の支え”にもなります。
“選択肢の存在=心の支え”
つぎは、転職しないリスクも考えて(想像して)みましょう。
転職しないリスク=1年間、5年後で痛みが増すことも
「辞めたい」「転職しなければ」と悩みながらも勇気が出せず、今の続けている看護師がいらっしゃるとします。
ある雑誌社の調査では、転職を考えつつ実際に転職したのは6割強でした。
転職しなかった理由の一つは「転職の勇気が出なかったから」というものでした。
転職しなくて良かった?
人生の最後に強く後悔するのは、やったことよりも、やなかったこと。
この世を去ろうとするとき、やらなかった後悔が死ぬ間際によぎるそうです。
あなたは最後を迎えるとき、今、転職しなかったとしたら、あなたの心にどう映るでしょうか?
転職しないリスクを想像する
ちょっと想像してみませんか?
本当は転職したかったけど、悪条件に耐えながら、自分をだましながら仕事を続けることと…
1年、2年、3年と、続けるごとに痛みは増していきます。
それでも頑張って続ける…いずれ退職し、老後を迎えます。
そし、あなたの寿命が尽きる最期に…人生を振り返ります。
思い出すのはあの時。
看護師として転職するかどうかを悩んだ、あの頃。
転職しようと思いながらも結局しなかった。
人生の最期にどう振り返るでしょうか?
(ここで時間を取って思いを巡らせてみましょう)
転職するにしても、しないにしてもリスク=後悔につながる
転職する・しない、どちらもリスクがあります。
人生の分かれ道は、選択した方しかわからないようになっています。
この人生というゲームのルールだと思って、それを“おもしろい”と思えるとよいですね。
転職するにしても、しないにしても、そのときどきを大変でも“おもしろい”と意識的に思えると良い方向に行きやすいと思います。
ただ、人生の最後に強く後悔するのは、「やらなかった後悔」です。
「あの時、どうして勇気を出して転職を選ばなかったのだろう?」
というふうに、やらなかったことは後悔しやすい傾向にあり、
「あの時、勇気を出して転職してみて失敗したけど、今となっては良い思い出。」
やってしまったことは、“後から振り返るとよい思い出”になりやすい傾向があります。
なぜなら、人生の出来事は、“だいたいの事は時間が美化してくれる”からです。
人生の最悪が、後から振り返って「良かった」と思える割合
アメリカで行われたある調査では、人生で起こった最悪の出来事が後から振り返ってよかったと思える割合が調べられました。
最悪の出来事とは、離婚、会社の倒産、リストラ、大切な人の死などです。
これらを「良かった」「あのことが今の私を作っている」などと思える割合ですが、どのくらいだと思いますか?
3割くらい?
いい数字かもしれませんね。
でも、もっとなんです。
じつは、8割以上の人が、後から振り返ると「最悪のことが起こって良かった」と答えたそうです。
人間は、良くない出来事も時間の経過とともに美化してしまう“基本性質”がありそうです。
残りの1~2割の方々も、もっと時間が経過すれば、もしかしたら「良かった」と思えるのかもしれませんね。
看護師として過酷な業務、転職するかどうといった悩みも、いずれは良い思い出にかわるかもしれません。
あなたは、転職するか、しないでおくか…
直感的に決めるとしたら、今のお気持ちはいかがでしょうか^^?