こんにちは、メンタルコーチの山田です。
コーチという職業柄、看護師の後輩指導についてよく相談を受けます。
後輩指導の基本的なことですが、下記にまとめていきます。
初めてプリセプターになる看護師さん、後輩看護師との関係に悩んでいる方などの参考になれば幸いです。
- この記事の読了時間の目安はワークを含めて10分程度です。
- 上司や同僚看護師との悩みにも応用できます。
コーチングとティーチングの違い。「情報提供」か「気づきをサポートするか」
後輩看護師の指導…一般に“指導”といいますと、コーチング的要素も含まれますが、
どちらかというとティーチング的要素が強いイメージだと思います。
従来の指導では、
「指示どおりにやりなさい!」
と先輩看護師が後輩を怒鳴る場面も少なくないと思います。
でも、
「それに耐えて強くなる。」
「誰もが通った道だ」
と聞かされて納得する。
そんな経験が多くの看護師にもあるのではないでしょうか。
新人看護師が落ち込み仕事が手につかず離職することも…今でもそういった話は良く聞きます。
では、改めて、ティーチングとコーチングの違いを見ていきましょう。
ティーチング(教える)
そもそも、「教える」という文字は、
「左側が学舎にいる子供、右側がムチを持った人の姿」
から来ています。
ムチ(鞭)を振るって、大人が子供に鞭撻(べんたつ)する様子が「教」という漢字。
「教える」とは、
- 知っていることを相手に告げ知らせる、
- ものの道理等を相手に悟らせて導く、
- 戒める、
といった意味があります。
こう聞くと、「教える」ことは、教えられる側からすると、ちょっと怖いものがあります。
(「教育」にも「ある人間を望ましい姿に変化させるために、身心両面にわたって、意図的、計画的に働きかけること」という意味があります。)
学校は、
- 学ぶ時間、場所、内容、「何が正解」か、
態度や姿勢にいたるまで、ほとんどことが“決まって”います。
実際、従来の学校教育をうけた方なら、先生によっては“怖い”要素があることはわかりますよね^^;
「教える」も、“後輩指導”の範疇に入ることは間違いありませんよね。
各種の医療・処置方法、病院内でのルールなどは「教える」要素が強くなります。
従来のティーチング・教えるは、情報の流れが一方通行になる傾向があります。
- 先輩看護師(プリセプター)
↓教える
- 新人・後輩看護師(プリセプティ)
コーチング
コーチングは、相手の気づくための「お膳立て」「支援」をするもの。
「ティーチング」のように一つの「答え」や「型」「基礎技術」を教わるのではなく、コーチングは、相手が「気付く」ことをサポートします。
新人看護師たち自ら気付き、自分の中にある答えを見つけ出し、力を引き出す。
ですので、コーチングではたくさん質問をします。
コーチング看護を学習させたり、医療技術・処置を習得させたりするのではなく、
- 学習する“意欲を高める”サポート
- 習得する“自信をつける”サポート
などをするのがコーチングです。
コーチングの語源
コーチングの語源を考えると、コーチとしての先輩看護師(プリセプター)の役割がよくわかると思います。
コーチングの語源…実は、ブランド品のコーチと同じで、“馬車”なんです。
馬車は、乗り物。コーチングも、コーチされる人が現在地から目的とする場所まで運ぶことから来ています。
目的地を決める(どうなりたいか)のは新人看護師であり、それを引き出したり、変化・成長できるようにサポートしたりするのがプリセプター・先輩看護師側の役割になります。
コーチングでは…
- 先輩看護師(プリセプター)
|サポート
- 新人・後輩看護師(プリセプティ) → 気づき・自信
後輩看護師の方が専門知識をもっている時代だからこそ、後輩指導にコーチングが生きる
近年、医療の高度化に伴い、専門看護師も増え、看護師全体の専門性も高まってきています。
その流れを受け、4年制大学での看護学部の新設・定員が増え続けています。
- 新人や後輩看護師の方が先輩看護師よりも専門性を持っている、
- 大学院を出ていて年齢も上
という場合が珍しくなくなってきました。
コーチングでは、答えを持っているのは新人看護師(指導される側)
従来の「ティーチング」を中心とした指導では、経験・知識で新人・後輩を上回っている必要がありました。
ティーチングでは先輩看護師・プリセプターが答えを持っている必要がありますが、
コーチングで答えを持っているのは新人看護師・プリセプティです。
コーチングでは、先輩看護師は、新人たちの中にある“答え”を引き出すお手伝いをします。
こういった状況もあり、コーチングは、今後ますます、先輩看護師に求められるようになってくると思います。
先輩看護師がコーチングをと入れることは、新人・後輩看護師に好かれること
コーチングスキルがあると、新人看護師たちがやる気を出せる、気持ち良く働けるよう助けられ、人を受け入れる幅が広がります。
ある病院の新人看護師への聞き取り調査結果では、
- 好かれる先輩の特徴としてあげられるのが
- 良く話を聞いてくれる
- 笑顔で接してくれる
- ペースを合わせてくれる
- 上からではなく同じ目線でどうすれば良いか一緒に考えてくれる・気付かせてくれる
- 精神面で支えてくれる
- 気持ちを読み取って声を変えてくれる
といった声が聞かれました。
新人看護師から好かれる先輩看護師であるために
新人看護師の苦悩を共有する
看護師という職の独特の緊張感、また、看護学校での知識、実習とのギャップもあり、新人は何かとストレスにさらされます。
プリセプター・先輩看護師としての関わり方が新人看護師たちのストレスを助長させるかどうか分かれ道にもなります。
(転職理由のトップはよく「上司・先輩との人間関係の悩み」になります。)
人間は忘れる動物
あなたは新人の時の苦しみを忘れかけている…そんなことはありませんか?
看護師としてキャリアを積めているということは、当然ながら、新人たちとは違う経験を積んでいます。
新人の頃のことを覚えているつもり、年が近いのだから寄り添えているつもりが、合わない部分もあるかもしれません。
また、あなたが新人看護師の頃と、今の新人の方々では状況も違うと思います。
そこで、“想像力”が一つのポイントになってきます。
今の新人看護師たちの気持ちやニーズを汲み取るイメージワークをご紹介します。
新人看護師の中に入り込むイメージワーク
- 目の前に指導する新人看護師・プリセプティが居ること想像します
- どんな看護服を着ているか、どんな表情か、どんな仕草かを思い出し、出来るだけリアルにイメージします
- 想像の中でその看護師さんの体の中に入り込むことをイメージします
- あなたの心が、その新人看護師さん本人に乗り移ったように想像しながら、その看護師さんとして病院内で働く様子を想像します
- その看護師がしている表情、仕草、働き方、どんな言葉を使い、何を言っているか、できるだけ細かく思い出し、
- 想像の中でそれらをできるだけリアルにやってみます。
- 新人看護師さんになりきったまま、「彼女はどんな気持ちだろう」「先輩からどんなフォローがほしいだろう」といったことを想像してみます。
このように、新人看護師・プリセプティたちの言動をできるだけリアルに想像しながら、想像の中ですが“体験”もすることで、
彼ら・彼女らの気持ち、ニーズを汲み取りやすくなります。
数分~5分程度あればかなりのことができますので、ぜひ試してみてください。やってみると想像以上の体験になると思います。
「新人・後輩看護師の気持ち・悩みをコーチングで汲み取る」まとめ
以上、
- コーチングとティーチングの違い
- コーチングは気づきや自信を引き出すサポート
- 問題の答えは新人看護師が持っている(先輩看護師は持たなくて良い)
- 看護師に専門性が求められる時代だからこそ、コーチング的後輩指導が生きること
- 新人看護師に好かれる先輩看護師はコーチング的接し方をする
- 新人看護師の気持ちを汲み取るために想像力を働かせる
といったことをご紹介してきました。
あなたのコーチング的関わり方によって、
新人看護師・プリセプティたちの入職の後の定着率がアップし、
新人期に必要な看護技術を身につける
医療・看護の担い手として育っていく
そして、あなた自身も看護師としてさらに成長していく…
そんなことを想像しながら、この記事を終えたいと思います。
最後まで読んでいていただきありがとうございました。
メンタルコーチ山田でした^^