(まさみ 女 20代 保育士)
私は保育士として大阪の私立保育園で働いています。
園児同士で繰り広げる巧みな交渉術を目の当たりにしたお話です。
保育園には0歳〜5歳児までのクラスがあり子供たちも年齢によって感じる事や学ぶ事がそれぞれ異なり子どもも保育士も同じ目線になって日々刺激的な毎日を過ごしています。
特に子どもたちの発言や行動というものは時に驚かされたり笑わせられたりします。大阪なので毎日ボケとツッコミの連続。休む暇もないほどに次から次へとおもしろい事が連発しています。
例えば夏のある日、暑くても外遊びが大好きな子どもたちで虫捕りも大好きで夏といえばセミ。子どもたちにとって夏の虫の中でもセミは神的存在です。
いかにすばやく捕まえるか見せたりミーンミーンと泣いてても怖がらずに捕まえると子どもたちの中でもヒーローのような歓声があがります。そんな中で園庭の木にとまっているセミを見つけて次々と捕まえるセミ捕り名人が保育園には必ず毎年います。虫カゴいっぱいにセミを捕まえてとても幸せそうな顔をする子どもたち。
しかし中にはセミが好きでも捕まえるのは苦手で次々と捕まえる子どもの姿を離れた距離から見ている子どももいます。保育士の私が仲介役として入ろうか悩んでいましたが、離れて見ていた子どもが突然たくさんのダンゴムシを捕まえ始めました。
セミ捕りはもう諦めたのかと思ったのですが捕まえたダンゴムシをカゴに入れてセミ捕り名人の子どもの元へ行きました。
そして何やら話しているので少し近づきこっそり聞くと
「セミ欲しいねん…」
「イヤや。」
「ダンゴムシいっぱい捕まえたから交換してくれる?」
「えぇよ!ダンゴムシ10匹とセミ1匹な」
と、なんとセミとダンゴムシでやり取りが行われていたのです!
生き物のそのようなやり取りに疑問も感じ注意すべき事だとも思ったのですが、
それよりも先に数をよく考えてどうすれば自分の思うような取り引きができるか考えた事に驚くと共に「セミ1匹とダンゴムシ10匹で交換成立」という内容に思わず笑ってしまいました。
大人からするとセミとダンゴムシなんてそんな大した話ではないかもしれませんが子どもたちにとっては一大事で好きなもの。
手に入れる為に悩みに悩んで出した答えがセミとダンゴムシという事に私自身、感動と共についつい笑ってしまい、
自宅に帰っても子ども同士のやり取りの雰囲気を思い出して笑ってしまうこともありました。
改めて子どもは予想できない行動をして笑わせてくれることがあるのだなぁと実感しました。