薬剤師

薬剤師の転職総目次

こんにちは。メンタルコーチの山田です。

転職コンサルタントをしている知人から、「薬剤師さんの転職サポートにあたって、もっと心理学面で工夫はできないだろうか?」との相談をもらいました。

薬剤師はキャリアアップ、キャリアチェンジのため、結婚・出産などライフステージの変化、60代や70代で転職・復職する方々など、奥が深いですね。

知人から伺ったこと、私なりに調べたことを掲載します(端的に網羅できていると思います)。

まだ、ラフな状態ですが、今後心理学的工夫を追記していきたいと思いますので、今しばらくお待ちくださいね。

転職を考えている薬剤師さんの参考になれば幸いです。


薬剤師転職の基本

転職の大まかな流れ

  • 転職理由・希望を整理:数日~数ヶ月
  • 求人探し:ハローワークなどで1週間~数ヶ月
  • 書類準備・応募:数日
  • 書類選考:1週間~
  • 面接:1日
  • 採否結果:即日~
  • 転職・入社:数日~

以上、早い場合で1か月程度。

転職時期の良し悪し

  • 基本的に薬剤師の転職は、年間いつしても良い。
  • ボーナスをもらった後で良い
  • 自宅から凄く近い、この駅周辺で、時給3000円以上、年収700万円以上などこだわりたいなら早めに転職行動開始、求人が出たタイミング次第になる。

あせって転職しない

  • 目安は数ヶ月~半年かけて転職すること
  • 通勤圏内の薬局、病院、ドラッグストアなどを調べるから始める

薬剤師の年齢と転職

調剤未経験の薬剤師は2030代であれば転職はしやすい。40代以上になると求人が少なくなる(年収を下げる、試用期間を設ける等交渉する必要性も)

  • 2030代:基本的に年齢に問題無し。転職回数が多い場合以外は。結婚・育児などブランクからの復職も多く、転職は受け入れられやすい。
  • 40代:40代も子育てが一段落して復職するケース、キャリアチェンジで転職することはごく普通に受け入れられる。十分転職できる40代。
  • 50代:まだまだ転職できるけど年齢制限の求人が増えだす。キャリアによっては幹部候補も。
  • 60代:正社員は難しくなるがパートであれば十分(70代で転職する人も居る)。

 

薬剤師の転職回数

  • 一般に1、2回の転職はあり得る。
  • 3回以上になると「どうして?」と警戒される心配あり。
  • 転職回数をどうとらえるかは企業、採用担当者の感覚による。
  • 転職回数が3回以上など多い人でも、受け入れられる企業も存在する。転職エージェント・転職サイトで情報収集してリカバリーする。

 

薬剤師の良くある転職理由

  • 転職回数に加え、転職理由も焦点になる。
  • やむを得ない理由:結婚、出産、育児、パートナーの転勤、家族の介護、薬剤師本人の病気、明らかなパワハラ・モラハラ・セクハラなど職場の問題
  • ポジティブな理由:留学、進学、資格取得、調剤から研究に移りたいなどキャリア形成、専門性を高めるための転職や退職
  • ネガティブな理由:人間関係、仕事が合わない、給料が安いから、パワハラなどがあっても主観的な判断、個人的な問題ととらえられる場合→転職理由として挙げない方が良いかもしれません。

薬剤師は変わった人が多い

薬剤師は、薬局の事務員さんたちから変わった人と見られることがある。

薬剤師いじめや、人間関係の問題に発展することも。

人間関係の問題

  • 業務上ミスが許されないため緊張感があり余裕がない
  • 薬局だと閉鎖的な空間で逃げ場がない
  • 職場によっては人事異動がほぼない
  • 薬剤師と事務員の確執

薬剤師の職場は、大きくは4つ

調剤薬局

  • 調剤業務:患者さんへ医師の処方箋をもとに薬を調剤
  • 服薬指導:患者さんに薬の服用・保管方法・効能の説明、健康・予防アドバイス、患者さんから副作用・薬の効き方などを医師にフィードバック
  • 薬歴管理:患者さんの薬服用履歴、副作用など管理
  • 在宅医療対応:個人宅、施設の高齢者等に上記業務に加え、患者さんの精神的サポートも。
  • 求人:常勤、パート、管理薬剤師、未経験薬剤師、在宅求人、募集年齢広い。600万円以上も。ただし、調剤未経験で400~450万年が多い。

調剤未経験でも2030代なら求人が多く、40代以上にあると厳しくなる。未経験で忙しい薬局に入ると大変なのだそう。

ドラッグストア

  • 調剤業務
  • OTC販売:処方箋がなくお客さんとのコミュニケーション能力が求められる。
  • 求人は目につくので薬剤師免許さえあれば採用されると油断していると、面接で不採用になることも。
  • 薬以外の商品管理:生活用品などの仕入れ、発注、陳列なども。

 

病院

  • 多様な業務:医薬品情報業務、薬品管理業務、製剤業務、治験業務、その他院内感染の防止
  • 病棟薬剤師:病院の中の病棟に特化、患者さんとの接点が多い。
  • 専門科目業務:がん、精神科、HIV感染症、妊婦授乳婦、感染制御など各分野に特化。

 

製薬会社・治験

  • 管理薬剤師:薬事法に則った医薬品管理
  • 学術・DI :自社への問い合わせ対応、マーケティング・開発に参画
  • 臨床開発モニター:治験の施設選定・モニタリング、症例報告書のチェック等
  • 治験コーディネーター:患者さんの症例登録やCRF作成サポート
  • 大手製薬会社は中途採用は少ない傾向(他社製薬会社勤務経験があれば別)。

 

薬剤師の総数、転職率、求人倍率、不足、飽和

  • 薬学部の定員14千人に対し、新卒の薬剤師需要は4千人と言われる。
  • 薬剤師国家試験の受験者は1万人弱、合格者は8千人前後。
  • 地域的な偏在はあって直ちに薬剤師が過剰になることはないと見られている。
  • ただし、5年後、10年後には薬剤師が過剰になる予測について否定するものではない。

 

転職先の探し方の基本

  • ハローワーク:良い求人に出会うためには1週間程度を目安に足しげく通う。求人件数は転職エージェント等よりも多い。ただし、相談員は薬剤師の転職に特別詳しいわけではない。
  • 転職エージェント:サイトや転職エージェント会社で登録し、担当キャリアコンサルタントがつく。希望を伝えてベストな求人がでれば連絡をもらう。コンサルタントは薬剤師業界専門。
  • 両方使う:真剣に探すならハローワークで自ら探しつつ、転職エージェントも利用。

ハローワークや求人誌等から直接応募する薬剤師が1割程度、転職エージェント経由が9割程度だそう。

キャリアコンサルタントの良し悪し

転職エージェントの規模よりも、コンサルタントの良し悪しの方が大事。良いコンサルタントは…

  • コミュニケーションが高い:薬剤師の希望を理解する力・まとめる力、説明しにくい動機や気持ちを汲み取る力、感情に共感する力
  • 行動が早い、連絡がマメ:中には1週間以上、求人の紹介も連絡もないコンサルタントも。一方早ければ即日面接日程が決まる。
  • 条件交渉を積極的にしてくれるかどうか:給料面、残業、福利厚生など、頼んでもいないのにキャリアを勘案して交渉してくれるコンサルタントも居れば、頼んだらしてくれる場合、頼んでもしてくれない場合も。
  • じっくり対応してくれる:転職を急がせるコンサルタントは売り上げ目的かもしれません。

 

薬剤師の転職…失敗しないために

転職は、エージェントに頼んで、自分でも探し、あらゆる努力をしても失敗するときは失敗する。

一番大事なのは、なぜ転職するか、理由を明確にすること。

転職失敗につながる原因

  • 転職理由が不明確でぶれてしまう:譲るべきでない条件なのに、気付いたら妥協していた。
  • 条件で全く妥協しない→優先順位をつける。
  • 他人を信じすぎる(転職コンサルタント、転職サイトの情報をうのみにしない。最後に判断するのは自分=責任感が生まれる。)

 

転職失敗を回避する工夫

  • 短期間の試用勤務をする
  • 合わないと思ったすぐに辞める=職歴に残る前に(1週間など)

見落としがちな条件を知っておく

  • 勤務時間:以前の職場は1日7時間30分だったが、転職先は8時間で損した気分。
  • 休日数:入社してみたら土曜日は隔週で出勤、祝日は出勤だった(年収が高い求人は休日が少ない可能性。休日が年間120日くらいあればカレンダー通り休めそう)

 

本当に転職すべきなのか、一度落ち着いて考えておく

  • 人間関係の悩みやストレスが転職理由にあるとして、自分の思い込みや誤解はないか?
  • 給料、残業、有給など勤務条件が問題だとしたら、交渉の余地はないか?

(退職前に上司などに相談すれば譲歩されることも)

退職するのは意外と大変、精神的消耗に身構える

上司や人間関係、就労条件が良くない職場を退職使用とする場合薬剤師本人が良く言われないことも。

  • 薬剤師が辞めるとまた募集・補充が大変だ
  • 他の薬剤師が休めなくなる
  • 製薬会社?薬局の仕事もちゃんとできてないのに?
  • 晴れて転職し新しい職場・会社に入る前に精神を消耗しないように
  • 現職場や上司に批判されるかもれないことを想定しておく
  • 批判する人たちも必死だったり、余裕がないかもしれないと理解に務める
  • 批判を気にする自分から距離を置く(客観的に退職のゴタゴタを観察する)
  • 親の仕事をつ手伝う・介護の必要があるなど、家族のことを理由する(批判されにくい)

 

理想の転職のために

転職理由、転職して何を実現したいのか?

なぜ転職したいのか?

まずは、なぜ自分が転職したいのかを今一度整理。

現職(または現状)に対する課題や問題点を冷静に整理した上で、転職で解決できるか否かを判断。

転職してどうなりたいのか?あなたの理想は?

転職して、どうなりたいか、何を得たいか、自分なりに整理。これがゴールとなるのでじっくりと時間をかけるとよい。

  • 異分野へキャリアチェンジ(調剤薬局→がん専門病院など)
  • 給料アップ
  • 勤務時間、残業時間が希望通りになる
  • 通勤時間や通勤方法
  • 人間関係や職場環境

 

転職理由整理のポイント

  • 箇条書きで思いつつままに書き出す(棚卸し)
  • 優先順位をつける
  • 譲れないもの、妥協できるものに分類
  • 数日~1ヶ月くらい時間を置いて、リストを見直す
  • リストを修正する(優先順位、譲れないもの、抜けていることはないかなど)

転職理由をまとめるときの注意、抜けがちなこと

  • 長期的視点がない
  • 焦っていてまとめる時間が不十分(見直していない)
  • 感情的になっている

 

面接対策

  • 資格職の薬剤師でも上位の求人を目指すなら面接対策にこだわる。
  • 人間関係や就業条件の問題などネガティブな転職理由はマイナスイメージにつながる。
  • 建設的な表現が基本。
  • 聞かれたことは、聞かれた内容をまず答える:回答は結論から。意外と回りくどくなる人が多い。
  • 抽象度を相手に合わせる:回答は細か過ぎても、大まか過ぎてもダメ。

 

自分の言葉じゃないと見破られる

どこかで調べてきたような志望動機は、その人が本当に発しているのか?他人は違和感を感じる者。面接官・人事担当者ならなおさら。自分の言葉で志望動機が伝えることにこだわる。

転職エージェントを通すと、実は志望動機はあまり聞かれない

エージェントが事前に転職先の病院などに薬剤師の転職理由・志望動機が伝わるので、面接では意外と聞かれなかったりする。

本音の志望動機で多いもの

  • 人間関係が嫌だから:上司、同僚、事務員、アルバイトとの確執。あくまで主観的なもの。キャリアコンサルや勤務している人から「ここは人間関係がいい(悪い)」と聞いてもあなたの感じ方は違うかも。1~2週間試用期間を設けてもらうとリスクが減る。
  • 給料アップしたい:薬剤師は転職で年収・時給(パートの)につながる場合が多い。
  • 勤務地・就労時間を変えたい:結婚、出産・育児、パートナーの転勤、異動で通勤時間が長くなって家庭と両立できなくなった、地元に帰りたいなど。

面接での志望動機はポジティブに

町の調剤薬局→総合病院

今は地域密着で専門性を高める機会がないので、様々な診療科がある貴院で勉強したい

総合病院・製薬会社など→町の調剤薬局

今まで学んできたことを在宅医療、かかりつけ薬剤師、地域密着の医療で活かしたい。

総合・専門病院など→製薬会社

御社の研究は○○なため将来性を感じ、前職での○○といった経験を活かし貢献したい。(○○は自分の言葉で具体的に)

前職場ではパワハラやいじめなど人間関係に明らかに問題があったから

そのままだと「薬剤師本人にも問題がある?」と思われかねないので伝えない方が無難。

出産・育児からの復帰

通勤圏内で薬剤師と家庭を両立できそうだから。

(結婚などライフステージ関係のブランクの理由はそのまま伝えても大丈夫)

前職でどんな仕事・経験・経験を積んだかをアピール

  • 過去の取り組みが未来につながる印象を持てるように。
  • 失敗やトラブルをどう乗り越えた、何を工夫したか、何を考え重視していたか、そこから何を学び、薬剤師として成長したか、など。

退職時に現職場に返却するもの、受け取るもの

退職時に返却するもの

  • 社員証・IDカードなどの身分証明書、社員章、名刺、名札
  • 健康保険被保険者証
  • 通勤定期券
  • 貸与された白衣・制服・作業着
  • その他社費で購入した書籍や事務用品
  • 業務用の関係書類など

退職時に受け取るもの

  • 薬剤師免許証(会社に預けている場合)
  • 離職票(雇用保険被保険者離職票)
  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票
  • 年金手帳(会社に預けている場合)
  • 経費の精算